郵便ゆうパック(国際郵便)の危険物[アルコール類濃度やリチウム電池]
郵便ゆうパック(国際郵便)で送る場合に一番お客さん側が意識していないのが危険物です。
一般の方が危険物であることを認識していなくても、運送業界や航空業界では危険物とされる内容品が多々あり
輸送や運送が出来ずに差出人に返送、輸送できない内容品は差出人の来局を待って返送することになります。
国内輸送では、しっかり記載していればゆうパックなら航空輸送できる場合もありますが、
ゆうパック以外の方法または詳細に記載がないためにトラックで輸送され時間がかかる場合もあります。
ここでは、危険物とされる内容品についての解説を下記の種類ごとに行っています。
危険物とされる内容品
・アルコール類
・リチウム電池
・その他の品(おもちゃ・薬・スプレー)
感じられるのは、利用者は「危険物であることを知らない・気づいていない」「危険物は送れない・送ることが出来ない」
ということを知らないということです。街のコンビニで何の許可もなく未成年でも自由に購入できる品物でも
輸送する上では危険物となる場合があります。そのあたりの注意する点などについてまとめてみました。
危険物を送りたいお客様の発言
・「コンビニで売っているから大丈夫だと思った(花火・ライター・スプレー缶)」
・「新品だから大丈夫だと思った(オイルライター・石油ファンヒーター)」
・「小型製品だから(デジカメ同梱)」
・「人体に付ける品物だよ(ヘアカラー・香水・マニキュア)」
・「被災地には郵便で送るしか手段も品物も何もないんだ(ガソリン・スプレー缶)」
なお、郵便局の窓口の人も全部の項目についてわかるひとはまずいません。特に、街中にある郵便局では引き受けた後の
危険物であることが判明しても直接引き受けた郵便局に連絡されるわけではないので、詳しく知らない人は多いです。
小さい街の中にある窓口だけの郵便局で差し出された危険物の入った郵便物等が返送された場合でも、
小さい郵便局に
戻すわけではないので、小さい郵便局の担当者は差し出し人が言わない限り返送されたことに気付かない場合があります
禁制品(危険物)が在中している場合は海外には行きませんので即刻、差出人に戻ります。
●アルコール類
アルコール度数の限界については、酒精飲料とその他に分かれて規定されており
下記のようになっています。
○内国郵便
・ゆうパック
アルコール濃度70%以下のもの
(ただし1容器5リットルを超える場合は航空輸送は出来ない)
・ゆうパック以外(郵便・レターパック)
アルコール濃度60%未満のもの
○国際郵便
アルコール濃度60%未満のもの
上記条件を表にすると下記のようになります(2018年現在、下記の表から多少変わりました)
記号 | 可能かどうか |
○ | 利用可能 |
▲ | 利用条件付き |
× | 利用不可能 |
アルコール 度数 | 郵便物・ 国際郵便物 | ゆうパック |
0〜24度 | ○ | ○ |
24度を超え 〜60度未満 | ▲ (1容器あたり5リットル以内) | ▲ (1容器あたり5リットル以内) |
60度以上 70度以下 | × |
70度超え〜 | × |
国際郵便の場合、相手国が酒精飲料の輸入を認めない場合があります、
ゆうパックで24度超から70度までの酒類を1容器あたり5リットルを超える場合は航空輸送はできません。
国際郵便で24度超から60度までの酒類を1容器あたり5リットルを超える場合は差し出すことはできません。
船便輸送される1容器あたり5リットルを超える酒の例
【泡盛】主 3升縄巻壺 5年 43度 5400ml@Amazon.co.jp
【泡盛】瑞泉 縄壷 アルコール43度9.0リットル@Amazon.co.jp
【泡盛】まさひろ 縄巻3升龍壷 アルコール43度5.4リットル@Amazon.co.jp
2011年の東北大震災では郵便局から送る郵便物以外は運送会社が荷受けと配達を停止したため宅配便は送れなくなり、
東北に荷物を送る場合は郵便局からしか送れないことになった期間がありました。その期間は東北に救援物資などの
品物を送りたい人は郵便局から送るわけですが、郵便で送れない燃料となる缶を送ろうとする方がいました。
燃料はアルコール同等の危険物として送ることは出来ません。
「香水」や「マニキュア」「除光液」はアルコール濃度が高く火を付ければ燃える燃料ですので
容量にかかわらず郵便で送ることは国内も海外も無理になります。従いまして、「化粧品」は上記の品を含みますので
そのままの表記では送れないことになり、具体的な品名を記載することになります。
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●リチウム電池
リチウム電池は短絡等させた場合に発火のおそれがあるため危険物扱いされています。
そのため、航空輸送又は外国に発送する場合は所定の条件を満たしている場合に限り利用できます。
この条件はアメリカの運営基準により順次改正されています。
日本国内の航空輸送の条件と、日本から外国に送る場合の条件は異なりますので注意してください。
リチウム電池はメーカーが安全だとしている製品に限ります。
○日本国内
航空輸送できるリチウム電池の種類は下記のリンク先に記載されている安全なものに限ります。
リチウムイオン電池又はリチウム金属電池若しくはこれらを組み込んだ電子機器を内容とする郵便物等の取扱いについて
航空輸送する場合は下記の条件があります。
・IATA危険物規則の条件を満たす、同梱又は機器に取り付け若しくは内蔵されていること
・リチウム電池の種類及び連絡先を記入した「リチウム電池取り扱いラベル」を貼り付ける
・ゆうパックとして発送し、その他の航空危険物を入れない
注意:
2015年1月1日より、充電できないリチウム金属乾電池(Lithium metal batteries)の単体での航空輸送はできなくなりました。
2015年7月28日より、充電できるリチウムイオン乾電池(Lithium ion batteries)の単体での航空輸送はできなくなりました。
参考
2015.07.27リチウムイオン電池(単体)輸送の一時中止について(PDF 40KB)
・リチウム電池取り扱いラベルの記載方法
・リチウム電池取り扱いラベルに記載する梱包基準
レターパック・定型外郵便等にリチウム電池が入っている場合は航空輸送はできません。
速達にしていても航空輸送できず陸送になります。
リチウム電池ではない電池は、その種類を明確に記載すれば取り扱えたり航空輸送できます。
アルカリ乾電池は航空輸送できますが、アルカリ蓄電池は取り扱いできません。
参考:陸送(船舶輸送・車船輸送)でかかる時間 |ゆうパック航空輸送禁止
○日本→外国(国際郵便)
詳しくは下記をご覧下さい
参考:EMS航空便で可能になったリチウム電池の海外発送方法(国際郵便)
主な条件
・機器に取り付け又は内蔵されていること
・リチウムの内容量又はワット時定格値等が一定限度内であること
・リチウム単電池の場合は4個まで、リチウム組電池の場合は2個までであること
・リチウム電池の輸入を制限していない国・地域宛に差し出すこと
各モードで送れる国はこちらに記載しています。→国際郵便によるリチウム電池の郵送条件
各モードで送れる電池の条件は国際郵便約款別記16に記載しています。→国際郵便約款
注意
「・機器に取り付け又は内蔵されていること」を理解していない人が多いようです。
新品未開封の電池が本体とは別になって箱に入っている状態は「同梱」と呼ばれますので海外には送れません。
リチウム電池だけ送る場合の「単体」の状態も海外には送れません。
国際郵便で送るためには「内蔵」または「取付(接続された状態)」にしておく必要があります。
送る電子機器は電源がすぐに入るような状態にしておくのと同様にリチウム電池が入っていることが必要です。
従いまして、本体に1個しかバッテリーが入らない場合は予備電池は送れません。
「同梱」の画像
「取付(接続された状態)」の画像
同梱の場合、国際交換局で航空輸送するためのフライトコンテナに入れる前のX線検査で判明し
日本からは発送されず差出人の住所を管轄とする郵便局に返送されます。返送されると
郵便局から差出人に電話又は郵便により連絡され、どのようにしたいのかが聞かれます。
荷物は返送され国際郵便約款による料金の返還が行われます。
●その他の品(おもちゃ・薬・高圧ガスボンベ)
禁止品・禁制品は送れません→国際郵便で送れないもの
上記及び上記からリンクされているページに記載されているものも送れません。
その他、送ることが出来ないと利用者が気づいていないものとして下記の物があります。
具体的に記載していないもの
・おもちゃ(花火は日本の分類では「おもちゃ」なので明確な記載が求められます)
・薬(アルコール分の高い品物も日本の分類では「薬」なので具体的な記載が必要です)
性質により送れないもの
・クラッカー(中身は火薬で爆発物です)
・花火(中身は火薬で爆発物です)
・香水(中身はアルコール濃度の高い火のつく危険物です)
・マニキュア(中身はアルコール濃度の高い火のつく危険物です)
・ヘアカラー(素手でさわれないのは腐食性物質の可能性が高いです)
隠して送られているもの
・スプレー缶(破裂すると危険)
再利用の場合
・利用箱に危険物ラベルやマーキングがされているもの
・UN○○○○という中身が危険物であることを示す表示のある箱
・正方形を45度傾けた菱形状にの危険物マークが表示されている箱
関連サイト
郵便物外装の「危険物ラベル」・「マーキング」の表示の抹消について
危険物貨物@ANA
輸出梱包事例【国連認定UN規格 危険物梱包容器を使用した梱包】
航空危険物安全輸送協会 (JACIS)
郵便で送れない危険物扱いされる内容品について、どうしても送る必要がある場合は
専門業者(自社航空便で運ぶ外資系)や航空貨物業者にお問い合わせ下さい。
郵便局ではどうにもならない荷物も送れることは可能となる場合はあります。
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